【書籍紹介】空き時間にオススメ『ミライの授業』要約

書籍紹介

ミライの授業という本をご存じでしょうか?

著者の瀧本哲史(たきもと・てつふみ)さんは、エンジェル投資家、経営コンサルタントです。

著者紹介として、『ミライの授業』での肩書は京都大学客員准教授であり、東京大学法学部を卒業後に、東京大学大学院法学政治学研究科助手となったのち、マキンゼーアンドカンパニーに入社。

3年で独立して、日本交通の経営再建などを手がけ、その後、エンジェル投資家として活動し、オーディオブック大手「オトバンク」には2004年の創業時に出資して、監査役や社外取締役を歴任した。京都大学では、起業論を教えると共に、産官学連携、高大連携、国際連携のプロジェクトに参画しています。

2019年8月に亡くなられ、訃報のニュースが流れた際には、47歳という若くして亡くなった瀧本さんに戸惑い嘆く人たちが多かったように記憶しています。

そんな瀧本さんの作品には『僕は君たちに武器を配りたい』『武器としての決断思考』『武器としての交渉思考』などがあります。

今回は私の個人的な主観と感想を含めて、 屈指の名著だと思うミライの授業を 紹介していきますので、前から気になる作家だったけど、どれから読み始めれば良いのかわからないという方は、ぜひ参考にしてみてください!

概要と要約

『ミライの授業』は、講義に入る前の準備として「なぜきみたちは学ぶのか?」というところから始まります。

本書に書いてある通り、「勉強するのが嫌だ」と思うことがあるのは、将来何の役に立つのか分からないから嫌だと感じますが、学校で学ぶことは「魔法だ」というくすぐる言葉を伝えられています。

内容

きみたちはなぜ学ぶのか?

 -「学校で習う勉強は大人になって役に立つの?」
 -勉強そのものが嫌いなのではなく、学ぶ意味が分からないことをやらされるのが嫌なだけ
 -いま、学んでいるものは魔法
 -飛行機、電車、スマホなど、江戸時代の人がタイムスリップしてきたら、妖術の世界に来てしまったと思うに違いない
 -学校とは「未来」と「希望」の工場
 -世界を変えるのはいつだって人間
 -本気で未来をつくろうと思うのなら過去を知る必要があ

未来をつくる5つの法則

 ①世界を変える旅は違和感から始まる
  -違和感をスルーしない
  -戦争の死因は不衛生な環境での感染症が多かった
  -天動説に代わる地動説は30年かけて検証した
 ②冒険には地図が必要だ
  -自分だけの仮説を証明する旅
  -仮説の旗は空白地帯に立てる
  -地図は時代や状況に応じて柔軟に変化させる
 ③一行「ルール」が世界を変える
  -目に見える形にする
  -日本国憲法の男女平等
  -ココ・シャネルの女性のためのファッション
 ④すべての冒険には「影の主役」がいる
  -冒険の旅は仲間が必要
  -ひとりだったら天才でもできないこともある
  -全員が70億分の1の個性
 ⑤ミライは「逆風」の向こうにある
  -変革者はいつも新人
  -世代交代だけが世界を変える
  -大人がこぞって反対してもくじけないで

● 大人には思い込みがある。世界を変える旅は自分を変えることから始まる

解説と感想

なぜきみたちは学ぶのか

みなさんが学んでいるものの正体、それは「魔法」です

『ミライの授業』p25

小学校・中学校の頃は、特に「なぜ勉強するのか」よくわからずに、遊び呆けるなんてことがありがではないでしょうか。

私も遊び呆けていましたし、高校生になると就職や大学受験を考えながらも、「いま学んでいる数学の微分積分なんて社会に出たら何の役にも立たないじゃないか?」「英語なんて使う機会がないんじゃないか?」と思いながら勉強していました。

しかし、学んでいるものが一体なにを実現したのか、あるいは実現に向けて使えるのかを想像できると、向き合い方が違っていくのだろうなと思っています。

瀧本さんは、学校で学んでいるものは「魔法」だと述べています。

もし江戸時代の人たちが現代にタイムスリップしてきたら腰をぬかすでしょ?とごもっともなこと。

私たちは当たり前を享受しているからこそ、実は過去に当たり前を覆してきた人たちの上に成り立っています。

『ミライ』の授業では、未来のテクノロジーについて学ぶわけではなく、過去に未来をつくった、つまり今を実現した人たちから学びます。

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

『ミライの授業』p54 オットーフォン・ビスマルク(ドイツ帝国初代首相)

19人の偉人

私の中で特にこの本の中でのめり込んだのは19人の偉人に焦点を当て、未来をつくる方法について解説されていたところです。

【人物 1】アイザック・ニュートン
【人物 2】フランシス・ベーコン
【人物 3】ヘンリー・フォード
【人物 4】フローレンス・ナイチンゲール
【人物 5】高木兼寛(たかきかねひろ)
【人物 6】森鴎外(もりおうがい)
【人物 7】コペルニクス
【人物 8】クリストファー・コロンブス
【人物 9】大村智(おおむらさとし)
【人物10】ビル・ゲイツ
【人物11】トーマス・エジソン
【人物12】嘉納治五郎(かのうじごろう)
【人物13】ベアテ・シロタ・ゴードン
【人物14】ココ・シャネル
【人物15】伊能忠敬(いのうただたか)
【人物16】マーガレット・サッチャー
【人物17】グレゴール・メンデル
【人物18】J・K・ローリング
【人物19】緒方貞子(おがたさだこ)
【人物20】きみ

冒頭のガイダンスでは、さっそくニュートンを引き合いに出し、哲学では成し遂げることができなかった世界の真理を、「数学」という角度から解き明かしていったこと、ベーコンが「観察と実験」によって理論や結論を導き出す帰納法という考え方を編み出し、人間が持つ「思い込みの罠」からの脱却を目指しました。

本気で未来をつくろうと思うなら、過去を知る必要があります

『ミライの授業』p52

未来に生きる14歳が未来をつくるためには、過去を知る必要がある。

「世界を変えた人たち」が、どんなふうに育ち、どんなことを考え、どんなことに疑問を抱いたのか。そしてどんな壁にぶつかり、どうやって壁を突破したのか。彼らの生き方や考え方から、「未来をつくる法則」を導き出していきます。

個人的にはヘンリー・フォードの車を広める世の中にするために馬車から得られる着目する視点を柔軟に持つことが、現代のクリティカルシンキングに繋がっているのではないかと思います。

世界を変える旅は違和感から始まる

違和感をスルーせず、自分のなかで大切に育ててください。なぜなら、その違和感こそが、未来につながる冒険の扉なのです

『ミライの授業』p60

大人には見えていなきけど、子どもには見えているものが必ずあります。

「なぜ男子はズボンで女子はスカートなのか?」「国語の教科書はなぜ縦書きなのか?」

すでに当たり前になっている大人たちでは見過ごしてしまうものを、子どもたちは「なんで?」といとも簡単にその「違和感」に気がつきます。

【ヘンリー・フォード】

ヘンリー・フォードは、「もっと速い馬が欲しい」という大衆が本当に解決したいことは、早い馬ではなく早い移動手段であることを発想しました。

発想や発見があれば未来を作れるかと言うとそうではありません。違和感を具体的に証明して過去を否定しなければ、過去に生きる大人たちを変えることはできません。

【ナイチンゲール】

ナイチンゲールは、戦争の現場で目撃した不衛生な環境による感染症で亡くなる人たちの数が、実は戦って死ぬことよりも多いことを知りました。

過去の人たちは医療の重要さを疎かにしてしまうため、現実を訴えるための手段として統計を活用し説明したのです。

ベーコンの帰納法やニュートンのような数学による真理が引き継がれていますよね。

【森鴎外・ 高木兼寛】

失敗例として森鴎外が取り上げられています。森鴎外は、当時最先端だったドイツ医学の権威のもと「脚気」を伝染病だと思い込んでいましたが、現実は「栄養不足」でした。

高木兼寛は、論より証拠のイギリス医学に基づき、なんだかわからないけど食料を麦飯に変えたところ脚気が減っていったことから、栄養不足(ビタミンB1の不足)だと論じていました。

ベ結果的に森鴎外は医学者としてほとんど名を残せずに文壇においてのみ名が残ります。この2人の違いは、「権威や常識を疑うことができるかどうか」、そして「事実をベースにしてものごとを考えられるか」にありました。

【ペルニクス】

コペルニクスが唱えた地動説と、それ以前に常識と考えられていた天動説との関係にも同じことが言えます。

天動説が本当だとするなら、星々は複雑な動きをしなければならないという違和感に向き合い、しかしそれを実証するための材料が必要であるため、30年ものあいだ観測を続け事実を突きつけました。

ただ、地動説はそれでもすぐ受け入れられたわけではなく、なんとローマ教会が地動説が正しいと認めたのは1992年だそうですが…。

さて、この章では、もうひとついい言葉がありましたので引用しておきます。

「人」を疑うのではなく「コト」を疑う

『ミライの授業』p61

思い込みというのは、「誰が言った」とか「誰だから違う」とかそういったことがあります。

人にとらわれると真実が見えなくなります。

そういった意味で、ヒトとコトを切り離してみることが、課題解決の糸口になることが人間関係の改善やビジネスの解決策にもたくさんあるように思いました。

冒険には地図が必要だ

冒険とは、「自分だけの仮説を証明する旅」なのです

『ミライの授業』p105

【コロンブス】

コロンブスの時代にあった地図は、極めて不正確なものでした。

それでも彼らは冒険し、それは地図そのものが大切なのではなく、仮説が大事だということです。

不正確だったとしても、自分だけの地図を広げ、空白地帯に旗を立ててそこを目指していくということが、未来を創るために重要な要素になります。

【大村智】

大村智さんは、空白地帯に切り込み、2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞するに至ります。

アメリカの大学で研究するために、5つの大学に自分の実績を書いた書類を送り、すべての大学からオファーが来たそうです。

大村さんが選んだのは最も報酬が低い大学だったそうです。それでも唯一「客員教授」というポジションを提示してきたため、優れた研究設備が使えるという環境だったからだそうです。

そしてその後、日本に戻る際に、研究費を民間企業から引き出すために、多くの研究者が莫大な予算を投じている人間の病気を治す薬ではなく、家畜の病気を治す薬を作り、人間用にも転じられるのではないかという仮説を立てます。

結果、イベルメクチンという新薬ができ、人間にも効果があるとわかった(オンコセルカ症という寄生虫を原因とする失明)というのです。

ちなみに大村さんは自分は農家を継ぐものだと思って大して勉強もしないまま大学を卒業し、普通の高校教師になったそうです。大人になったとしても、未来はつくれるということを教えてくれます。

【ビル・ゲイツ・エジソン】

ビル・ゲイツは13歳の頃には企業経営について想像していたそうです。

やがて、それまでハードウェアにばかり注目されていたコンピュータですが、ソフトウェアに注目し業界を制するに至りました。

仮説というのは、「空白地帯」を狙って立てるものですが、そして仮説は柔軟に修正していくことも求められるそうです。

検証していって、仮説が誤っていることもありますからね。

失敗事例としてエジソンの蓄音機の話が登場します。

エジソンが発明した蓄音機は、あくまでも音声メモでしかなかったそうで、音楽を再生するようなことを想像していなかったようです。

蓄音機はレコードに記録して再生させていく形で発展していくのですが、エジソンは自分の考えを変えず、グラハム・ベルから共同開発などの話など幾度かあった修正のチャンスを自ら逃してしまったそうです。

一行の「ルール」が世界を変える

ルールとして、カタチにすることが、世界を変えるという話です。この章では3人の偉人が登場します。

【嘉納治五郎】

柔道という競技が世界的に普及し相撲が国内に留まっています。

柔道が国際化したのは「スポーツ」として明確なルールを整備したからであり、動きを理論化したり、段位制度をつくったり、危険技を形だけにして試合方法を確立しました。

相撲に明確なルールがないかというと違う気もしますが、相撲ってめちゃくちゃ閉ざされた競技ですよね。番付の枠組みもありますけど、かなり情緒によるところもありそうですね。

【ベアテ・シロタ・ゴードン】

憲法という強力なルールも世界を変える非常に有効な手段です。

日本国憲法第24条(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)は、男女平等についてのものであり、当時、男女平等が憲法に明記されたのは世界的にも先進的だったそうです。

アメリカにはいまだに男女平等の条項がないそうです。

草案を書いたのは日本で育ち、6か国語を話すことができたベアテ・シロタ・ゴードンという22歳の女性だったそうです。

日本における女性の無権利をよく知っていた彼女だから、この条項が草案としてだされ、今の時代の(当時の未来)に日本女性が享受している法律上の「男女平等」があるんですね。

【ココ・シャネル】

彼女は、それまで、コルセットや羽飾りなど男性を喜ばせるためのファッションを、「女性の自立」と「自由」をのためのファッションにカタチとして残していった人物です。

本書のなかのエピソードを読むだけでも、カッコよさがあって、もっとココ・シャネルについて調べてみたくなりました。

すべての冒険には「影の主役」がいる

仲間たちとパーティーを組むもきには、それぞれの個性をうまく組み合わせる必要がある。勇者から僧侶まで、様々な特徴をもった仲間が集まってこそ、冒険の旅はうまくいく

『ミライの授業』p173

ドラクエ1の主人公は一人でしたが…まあそれはいいとして、自分一人で事をなすっていうのは、いずれの時代も困難…というか無理じゃないですかね。

志を実現するためには、それを支えてくれる人がいるし、仲間がいたほうが実現の可能性が格段に高くなるよね、という話です。

【伊能忠敬】

伊能忠敬は、高橋至時という19歳も年下の天文方の人物に弟子入りし、その支援を受けて日本全国を測量して『大日本沿海輿地全図』を完成させることができました。

当時は日本全国が藩により統治されていた時代、日本全国を測量するには幕府の許可が必要だったため、高橋至時の案で蝦夷地の正確な地図を作るという名目で、通行認可を得ることもできました。

【マーガレット・サッチャー】

元イギリス首相・マーガレット・サッチャーも、その夫デニスが彼女を支えたという話が出てきます。

当時、女性は男性を支えるという考え方が当たり前の時代に、デニスはその逆の役割を引き受け、強い政治家サッチャーを際立たせることにもなったようです。

【グレゴール・メンデル】

仲間がいないことで、大きな発見が埋もれてしまう例として「メンデルの法則」で有名なグレゴール・メンデルの例を挙げています。

メンデルの法則は、当時はその研究成果の発表内容が、計算式ばかりだったために理解されなかったそうです。

メンデルは伝える力がなく、人との交流も少なかったがために、誰かがアドバイスさえしてくれれば研究成果が埋もれることはなかったのかもしれません。

ミライは「逆風」の向こうにある

「世代交代」だけが、世の中を変える

『ミライの授業』p216 トーマス・クーン

かなり印象的な言葉です。納得度も高い。

本書の中では、高校球児、とりわけ1年生が球拾いをやらされることに疑問をもっても、3年生はこれまでの慣習から押し付けるだけですが、その1年生が3年生になったらそのルールを変えることができます。

ニュートンの万有引力も、半世紀~1世紀も過ぎて信じられるようになりました。

大人たちは固定観念から逃れられないからでしょう。パラダイムシフトは世代交代によってなされていきます。

この章では、「新人」という枠に入る人たちがフォーカスされています。

ベテランよりも「新人」のほうが本質を見抜く力がある

『ミライの授業』p230

【J・K・ローリング】

これは『ハリー・ポッター』の作者J・K・ローリング(ジョアン)のエピソードが例として挙げられています。

ハリーポッターは4億5000万部(「ハリー・ポッター」誕生20年、数字で見る魔法の世界)という破格のベストセラーです。

そもそも児童書は売れないという認識が支配的であり、誰も知らない女性のデビュー作、しかも分厚い本(普通の2倍)。

断られた出版社は全部で12社…。これは思い込みによって判断されたことが大きいです。

GOサインを出したブルームズベリー社も、ジョアンの作品にほれ込んでの出版ではなく、決め手は、社長の8歳の娘が「ほかのどの作品よりも面白い」という言葉があったからでした。

これをきっかけに社会現象を巻き起こすベストセラーとなり、たくさんの本を読んできたプロだったとしても、思い込みの罠から抜け出せずに価値を見いだせないという例でした。

【緒方貞子】

国連の難民高等弁務官になった方で、世界中から小さな巨人と称えられた日本人女性です。もともと学者であり、外交や政治とは無縁の素人でした。

緒方さんがUNHCR(国連難民高等弁務官事務所)の職に就いたとき、UNHCRが活動資金に困っていたということから、世界第2位の経済大国であった日本から資金をもらおうという狙いもあった「お飾り」のような目論見もあったようです。

しかし、緒方さんは湾岸戦争を起因として国外逃亡しようとするクルド人の問題についてリーダーシップを発揮します。

イラクから逃れてきたクルド人が、国境近くでトルコに受け入れられず難民という認定をされることがないまま、飢えと寒さに苦しんでいたのを救うという判断をします。

ルールでは救えなかった人たちを、基本原則に基づいてルールを変えるという判断をしたのです。新人であったからできる判断というものが、あるという例でした。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

『ミライの授業』は「14歳のきみたち」に中学生に向けて書かれた本ですが、読者のほとんどは大人なのではないかと思うと同時に、大人になって学生の時にこういう勉強をしておけばよかったな、というのは多くの人が思うことではないでしょうか。

それに気づくことに遅すぎるということはないのかなと思います。

もちろん習熟度は若ければ若いほうがいいのですが…『なぜ人と組織は変われないのか』では、人が変われないのは「裏の目標」と「強力な固定観念」があるからで、それを克服すれば大人も成長するということが書かれています。

この本を読んでハッとすることができれば、まだまだ捨てたもんではないのではないでしょうか。

それでは今回はここまでです。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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